ガラスのヒビに絆創膏を貼る娘

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ずっと二人兄弟を育てていたのだが、女の子がどうしても欲しくて不妊治療を頑張っていた。周囲からは、「二人もいるんだし、もういいんじゃないの?」と言われたけれど、やはり女の子が欲しいという気持ちを抑えることはできなかった。そして次男の誕生から6年、ようやく女の子を授かることができたのだった。

女の子を育てる上で一番楽しみだったこと、それは女子の可愛い服を着せることだった。ずっと黒とか青とかしかなかった洗濯物に、ピンクや赤が入るようになったこともとても嬉しかった。最近では娘も成長し、自分で洋服を選ぶようになったので、あまり私の自由にできなくなってしまったのは残念だけど…それでも娘と一緒に洋服を買いに行けるのは至福の喜びだ。

そんな娘、二人の兄と私たち両親によって蝶よ花よと育てられたせいか、わがままな一面が強くなってきた。自分の思い通りにならないとすぐに癇癪を起すし、お店に行って買って欲しいものがあると、手に入るまでそこを絶対に動かない。一体誰に似たのかしらと呟いたら夫も息子たちも一斉に私の方を見たのは心外だったけれど、そんな彼女でも、ふとした時に優しさを見せることがある。

先日次男がふざけているときにボールをガラスに当ててしまい、ガラスにヒビが入ってしまうという事件が起きた。幸いケガはなかったものの、窓ガラスは交換しなくてはならなくなってしまった。すると娘が救急箱を持ってきて、ガラスのヒビに絆創膏を貼り始めた。「何してるの?」と聞くと、娘は「ガラスさんが痛い痛いだから」と言って、絆創膏を貼ったところを優しく撫で始めたではないか。私は娘の優しさと可愛さに、たまらなく愛おしい気持ちになった。何だかんだ、きついところはあっても優しい女の子に成長してくれたな、と実感し、次男に対するイライラも忘れてしまった。その日1日中ホンワカした気持ちにさせてくれた娘に感謝したのだった。